8.29.2016

高江の断想 ひとつの詩を創る断想の過程 #4



高江の断想 ひとつの詩を創る断想の過程 #4





虫 は朝いちばんに訪れた

花 と同種類の
花 のみから、一日中
蜜 を集めるらしい

そして 陽 が暮れる

百姓たちが
先祖を迎える儀式を
終えるころ
そこには
何世代ものあいだ
強い 風 がふいた

毎朝のように
総ての 音 をかき消すように
激しい 雨 が
落葉 のしない 
紅い 土 を
一切、とどまる事なく 
海 へと流す

樹々 は
浅い 土 に
根 を張る、が
雷雲 が
嵐 をもらたし
枝、枝は折れ
枝、枝は飛び

樹々 である 樹々 は
枝 を失ったことを
己 の肉体である 樹々の断片へ
ある時は電気信号に変換し即座に
ある時は化学物質に変換し緩慢に
伝える

繋がる 
樹々の 意識 は
幹 あるいは 
根 や 葉 から
未来である新しい
私 の一部である 
枝 を創作することができる

やがて 海 が緑色を取り戻す頃

注ぎ始めた 陽 に照らされ
水 は立ち上り
森 は湿気に覆われる
花 は 音 を取り戻す

総ての 薬 の
もととなった 色
色 々な 色 の
花 が咲き
その薬効を手にした私達は
花 を抱き、踊る

川 を浴び
火 を焚き
花 を抱き、踊る

川 を浴び
火 を焚き
花 を抱き、踊った
のは
いつだったか

木 を伐り
草 を刈り
森 を拓く
砂利 を敷き詰め
石油 を流し込む

大型の垂直離着陸機は
狩りのたびに
その欲望を満たす

狩りのたびに
皆が抱いた 花 を燃やす

そこにしか咲かない 花
を燃やし 風 
に耐えた 樹々 
を焼き尽くしていく

木 を伐り
草 を刈り
森 を拓く
砂利 を敷き詰め
石油 を流し込む

砂利 を積んだ
大型の運搬車や
装甲車が進む

その車列に
花 を抱いた 抵抗者たち が
飛び込む

飛び込む

抵抗者たちは

花 を訪れる
虫 のごとく
水 のゆたかな
森 が繁栄するための媒介となり
その行為は
蜜 となって
祝福される

抵抗者たちは

自らの生命を賭して
蜜 を集め
花粉 を運び
地球 に内包された
種 となる


砂利 を積んだ
大型の運搬車や
装甲車が進む

その車列に
花 を抱いた 抵抗者たち が
飛び込む

踊る ことは許されない
権力に属したものたちは
言葉 すらも許されない

自由 であるということを
自らの選択肢から外し
拘束される

言葉 を失った 機動隊員たち は

極彩色の
珊瑚上の

こことは違う 権力 をもつ
こことは違う 概念 をもつ

機関操縦を手にした 鳥 たちの
巣箱 を守るために

目の色 さえも失う


そして 抵抗者たち を拘束し

流れる 水、水 の豊富さゆえに
淀まぬ 水、水 が溢れ出る
森 を削り
路 を均す

そして 陽 が暮れる

星 が流れる

次々と
星 が流れる

無数の 星 が流れる
暗闇の 森 の中
農道に集まる
無数の 抵抗者 たち

星 の灯りを頼りに基地を目指す

が、
空 を埋め尽くす
星 は 景色 から失われる
大型の垂直離着陸機を誘導する
サーチライトによって

流れる 星 に願いを

森 を
水 を
花 を失わぬように、と
毎晩

流れる 星 に願いを

託した
森 の少年たちは
日 がのぼった島の
川 を浴びる


川 を浴び
火 を焚き
花 を抱き、踊る


川 を浴び
火 を焚き
花 を抱き、踊った
のは
いつだったか

機関銃が
戦闘機が
潜水艦が
装甲車が
米軍が
機動隊が
警察が
防衛局が
警備会社が
組織が
企業が
抵抗者が
村に訪れる

日々を暮らす ここ と
同じ国に
戦時中の 村 がある

戦争 を

放棄せよ

戦争 という概念を

放棄 せよ

戦争 という概念を

放棄 すると
宣言 せよ

戦争 という概念を

放棄 すると
宣言 したその先には
美しい 水 が流れる


美しい 水 は

やがて 川 になり
赤い 土 の上を
自由 である路上を流れ
海 へと流れ込み
陽 に照らされ
雲 をよび
雨 として
葉 や 
根 を潤わし
花 が咲く

虫 は朝いちばんに訪れた

花 と同種類の
花 のみから、一日中
蜜 を集めるらしい


そして 陽 が暮れる



我々は種子を運ぶ風にすぎない
我々は種子を運ぶにすぎない

我々は種子を運ぶ風にすぎない
我々は種子を運ぶにすぎない

風がふき
雲が流れ
星がみえた

我々は種子を運ぶ風にすぎない

我々は種子を濡らす雲にすぎない

我々は種子の周りをまわる星にすぎない


我々は地球に内包された種子だ

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